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技術ネタ, その他学んだことのアウトプット用

統計数理研究所 オープンハウス 基調講演メモ

統計数理研究所75周年のオープンハウスに参加してきたので手元のメモ公開します。

イベントHP www.ism.ac.jp

人工知能の歴史, 発展, 社会への影響(甘利先生)

前半は一般の方向けのライトな話でした。 メモは若干自分の解釈が入ってます。

イントロ

第四時産業革命

生命技術と方法技術の進化 技術は止めようと思っても止まらない

宇宙史と脳の生成のアナロジー

物理学 (ビッグバン)->生命科学 (生命の誕生, 事故を複製し次世代に伝える物質, 遺伝)->神経科 (多細胞生物は環境情報を利用する)->文化人類学, 心理学 (人類の誕生と発展)

人工知能と脳のモデル

AIの第一次ブーム

万能機械, Perceptron, 脳モデル

神経回路ネットワークモデル(ローゼンブラッド) 計算機の性能が足りなかった

AIの第二次ブーム

エキスパートモデル, MLP(backprop), 連想記憶モデル

AIの第三次ブーム

深層学習, パターン認識, 強化学習

深層学習の数理(digest)

多層回路網の学習理論は甘利先生が約50年前に提案

深層学習の問題点

1. 原理を発見しない -> モデルの数理的解釈が難しい

理想のモデルの設計, 潜在変数の特定までは難しい, 例えばケプラーの法則を発見できるか?

モデル選択の話?

2. 1000 層も必要か?

layor 数の暴力で問題を説いている, 情報表現としては抽象化が進めば構造が捉えられる 敵対的例題と脆弱性

3. 局所解と大域解

次元の呪いと局所解 simulated annealingで何とかしようという話はあるが, approachが工学的... 大規模系の特徴 n->∞ での関数空間での評価 Jacot et.al

最近の甘利先生の研究

統計神経力学

例えばinitial weightを適当な確率分布で初期化したときにマクロな何らかの数理的な特徴が捉えられないか

Stanford, Google の人たちも最近やり始めている

引き戻し計量(リーマン計量, 距離)

フラクタルと敵対的例題 Poole et al. 2016 (甘利先生がやりたかったらしい)

中心極限定理, 大数の法則を使いたいが, 層には方向があるので一様収束しない

Natural Gradient 計算機的に逆行列計算が現実的でない(1M * 1M parameters)

Fisher Information, Unitwise natural gradient Y.Ollivier

quasi-diagonal nartural gradient

neural tangent kernel (No local minima, uniform convergence) $n -> \inf K_t -> K_0$

数理脳科学は脳の基本原理を探求する

進化によるランダムサーチ

GA, MCMC?

歴史的な制約, ゴタゴタの設計の中で絶妙な実現

意識の発生

Libetの実験 予測と後付, 神経科学的ダイナミクス <=> 意識による反省, 正当化

人工知能が脳に学ぶべきこと

数理的理解, 意識と心の役割, 連想式記憶システム

心を持ったロボットがつくれるか

ロボットが心を持つように見える(感情移入)

社会への影響

人間の家畜化, ベーシックインカム 仕事がないと人は生きられない, Amateur Scientist, Enginnerが増えていく?

深層生成モデルによる統計的推論(福水先生)

最近の深層生成モデルによる統計的推論のsurvey的な話

イントロ

神経回路網の数理がきっかけで統計的機械学習に興味を持った NN -> SVM -> DNN

DNNの発展にはプラットフォームの起用もある(RF, PyTorch Theano, Chainer)

"Artifucuak Intelligence is the new electricity" by Andrew Ng

深層生成モデル

GAN-> ProgressiveGAN->StyleGAN

StyleGAN (which face is real?)

良い原理が発見できれば, 改善は速い

現在のSoAとして以下を紹介 CycleGAN(2017) Everybody Dance Now (2018)

数理的な話

生成モデル自体は昔からある i.e. Graphical model, Mixture model, カーネル密度推定

距離尺度 i.w. f-divergence(2016), wasserstein(2017), MMD(2018) GANはJensen-Shannon divergenceを利用, 確率密度関数の構成が困難-> JS距離を識別問題に還元-> 識別はDNNが得意

GANはminimaxによる学習, DiscriminatorはLogistic Classify, Genrator は判別できないようにモデルを生成

深層生成モデルによるベイズ推論

ベイズ問題の一つは分母の積分をどう計算するか GANは高性能なサンプラーと考えられる, ベイズ推論に使えないか? Yang et.al. 2018

分布の距離尺度は KL-d, 変分ベイズからの導出 Hierarchical Impicit Models and Likelihood-Free VI

密度比の対数の推定をLogictic Classify で行う(like GAN) 実験の比較対象はABC系の手法 Lotca-Volterra Predator-Prey Simulator の推論

おわりに

今後の研究対象は以下

  • GANによるサンプリング+Bayes推論
  • 非線形時系列モデル

GANによるサンプリングを利用した粒子フィルターおもしろそう

深層学習の理論を明らかにする理論の試み(今泉先生)

イントロ

深層学習の登場 膨大な計算コストとブラックボックスな挙動が未だに実用化の課題

深層学習のモデルに関するイントロ

AlexNet #layer = 8, #parameter=60M VGG #layer =19, #parameter =100M

深層学習がもたらす謎

  • なぜ性能が良いのか?

従来法: フーリエ法, スプライン, カーネル法 これらは大雑把には特徴写像-> 線形変換の二層の構造と考えられる

一方でDNNは #layerが多いので表現力が高い(?)

謎1. なぜ多層で性能が上がる

関数推定の最適性原理, 普遍近似原理 .. etc. があるにもかかわらず #layerと性能は正の相関がある

謎2. パラメタ数の謎

統計理論の原則としては, 大量のパラメータを持つモデルは過学習により精度が下がるはず, but DNNはパラメータ数と性能に正の相関がある 既存手法は変数選択, スパースモデリング, 正則化, 適応化などでモデルのパラメータ数を減らす方向でモデリングしてきた

謎3. なぜ学習が収束する?

次元の呪いがあるはずなのに, 適当なパラメータで精度が向上している(従来の統計理論とConflict) パラメータは大域解でないのに信頼できるか?

原因究明のための理論の試み

1. 多層構造が必要な関数

斉一的な性質を持つ関数 -> 局所構造を持つ関数

多層は局所構造を持つ関数の表現に必要 i.e. 相転移現象の特異関数(Imaizumi 2019), 信号, 音声のBesov 関数空間(Suzuki 2019)

supportが分離されているような局所構造のある関数を保表現するにはDNNの多層構造が有用なことが理論的に示された

2. モデル自由度の再評価

既存の解釈ではモデル自由度=パラメータ数, か適合しやすい(VC次元, R複雑正) 深層学習の経験値によるとパラメータ数が増えてもモデルの自由度は低い 自由度 = f(パラメータ) の f' >0 ∧ f" < 0では?とう言う話

実際の自由度を何で決めるかという点について, 近年研究されている Bartlett(2017), Arora(2018)

多様な自由度の尺度が提案されているが, 汎用的・統一的な理論は今後の課題

3. 大域解を保証する仕組み

Over-Parameterization 損失が押し下げられるため, 大域解への到達が容易になる(?) Allen-Zhu(2019), Liang(2018), Kawaguchi(2019)

Over-Parameterization に必要なパラメタ数は データ数Dに対して O(D30)

解決への一つの方針が発見されたが, 詳細は非現実的で研究が必要

おわりに

統計理論は何をするべき? 昔は理論的な保証を与えたが, 現在は計算機が保証を作れる

理論側は現象から問題を輸入, 既存理論を再構築していく必要がある そのうえで現象に知見を提供, 計算機科学, 物理学との理論的貢献の競争

発見を理論で体系化する, 体系化されない知見は忘却されやすい

新しいパラダイムに対応していく必要がある, 統計モデル=> AIC, 深層学習=> ?